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2HJの活動レポート

トルコ、オーストラリア、グァテマラ - 世界のフードバンクをご紹介 (1)

  • 世界のフードバンク

2011/7/13

2HJボランティアコーディネーターの高原恵がアメリカでのフードバンク研修に行きました。その中で、特に今回は世界各国のフードバンクの様子を紹介します。

2週間のアメリカフードバンク研修に行きました!

フードバンクの歴史が40年以上ある、フードバンク大国アメリカへ研修に行きました。2011年2月27日から3月13日の間で、テキサス州サンアントニオ、アリゾナ州のフィネックス、カリフォルニア州サンフランシスコのフードバンクを訪れました。テキサス州ではフードバンクの研修に参加し、アリゾナ州とカリフォルニア州では、主にボランティア活動やパントリーについて学びました。

レポート① 世界の多様な「フードバンク」

今回の研修は、テキサス州サンアントニオで行われたGlobal Food Banking Network(以下:GFN)の研修から始まりました。シカゴに拠点を置くGFNは、毎年世界中のフードバンク団体やフードバンク準備委員会を招待し、一週間の研修を提供しています。テキサス州サンアントニオに22ヶ国からフードバンク関係者が集まり、アメリカ式フードバンクを学び、また参加国の取り組みについてプレゼンも行いました。

セカンドハーベスト・ジャパンが定めているフードバンク活動の定義は「食品関連企業他より市場価値の無くなった食品等の寄贈を受け、福祉施設や生活困窮者の支援団体に無償で届ける活動」ですが、世界には各地のニーズに対応し発展しているフードバンクがあり、その多様性にはとても驚かされました。

なかでも特に興味を持った国のフードバンクをご紹介します。



トルコの「ソーシャルマーケット」
トルコの場合、フードバンク活動を始めたのは、民間ではなく一人の市長です。トルコ最大の都市イスタンブールのベイオール市長とTurkish Red Crescent Istiklal Branch(イスラム教国の赤十字のような団体)は、個人や企業から食料品、衣類、その他生活用品の寄付を集め、それらを生活困窮者へ提供する活動を共同で行い、その活動が発展し2010年にイスタンブールのベイオール市長を中心に「ソーシャルマーケット」という施設を設立しました。ソーシャルマーケットは、食品など生活用品が陳列されていて一見普通のスーパーのように見えますが、全て無料、そして利用できるのは登録した食料支援が必要な家庭に限定されています。ソーシャルマーケットを利用する資格を得るにはまず登録手続きが必要です。担当者が家庭を訪問、財政状況や家族構成などのインタビューをします。登録手続き後、各家庭に赤いカードが渡されます。家族構成や収入などの基準に基づいて使用可能なポイントが定められているプリペイドカードのようなシステムで、ポイントの上限内で欲しいものを選びレジに持っていくと受け取ることが出来ます。ポイントカード式の高度なシステムは歴史の長いアメリカですらまだ無いので、アメリカのフードバンク団体も興味を示していました。

昨年に設立後、一年で既に他2カ所に支部ができています。市長が始めた活動ということもあり、すでに「フードバンク」の定義が法律上で明記され、寄付者は税金控除も受けることができます。ソーシャルマーケットに寄付された食品の全てにバーコードが張られ、自動的にデータ化されます。寄贈者側は寄付品のレシートを提出することにより税金控除が受けることができます。

一般的にフードバンクと言えば、非営利セクターが運営しているイメージがありますが、トルコでは生活保護政策の一つとして運営されているような印象を受けました。



トルコのフードバンク Social Market Beyoglu のホームページはこちら:http://www.beyoglusosyalyardim.com/(トルコ語のみ)

オーストラリアの巨大なフードバンク
オーストラリアはフードバンクの規模と、活動内容から今回研修に参加した国々の中では一番アメリカに近い印象を受けました。オーストラリア全土に拠点があり2,900福祉施設を通じて、毎日70,000人以上に食料を提供しています。セカンドハーベスト・ジャパンの昨年度の提供先福祉施設数は約600施設・団体なので、その規模の大きさが分かると思います。2010年の取扱量は約1,900万キロ(19,000トン)、2013年には5,000万キロ(50,000トン)を目指しているそうです。

オーストラリアの各州にフードバンクがあり、全てのフードバンクは独立したNPO団体ですが、団体間でネットワークを築いています。その大きな理由として、大手企業がそれぞれのフードバンクと同意書を交わすのではなく、一括できる良い点があります。同時に、それぞれ別NPO法人として活動することにより独自の方法で地方自治体や福祉施設の関係性が保たれ、各地地域に根ざした活動ができます。フードバンク間で、良い事例を共有するなど情報交換も頻繁に行われています。全国大会では各州の議長が参加し国レベルでの方針が決定されます。また年に数回、各フードバンクの代表が集まりフードバンク団体としての方針や業務内容について協議されます。

多くのフードバンクは寄贈品を配送している中で、北東部に位置するオーストラリアで2番目に面積の大きな州、クィーンズランド州だけは全て福祉施設がフードバンクに引き取りに来ています。福祉施設にとって、トラックやドライバーの確保など負担が大きいため実現までには何年も掛かったそうです。クィーンズランド州は野菜や果物など施設にとって必要不可欠な食品を常に豊富に揃えていたので、福祉施設側も協力するメリットを理解し協力したそうです。他のフードバンクは、ボランティアが自家用車で配送、地方自治体から協力を得るなどして配布しています。



オーストラリアのフードバンクのホームページはこちら:http://www.foodbank.com.au/
(英語のみ))

食品を販売するグアテマラのフードバンク
グアテマラのフードバンクは、2001年に複数の企業がGFNとミーティングを行い、フードバンクの基礎知識を学び、2005年に9社と1つの財団がフードバンクを立ち上げ翌年に本格的に活動を始めました。現在はまだ1団体しかありませんが、国内の普及活動は行っています。将来的にはネットワークを構築することを目標にしています。2005年の設立から毎月4,000袋提供し、毎年およそ19万人に食品を提供しています。

グアテマラの興味深い点は、提供する食品全て、定価の12%の価格で販売していることです。もちろん食品企業は販売することを知った上でフードバンクに寄付しています。なぜ無償ではなくあえて有償なのか、その理由の一つはフードバンクの運営費を得る、ということですが、もう一つはグアテマラの文化が影響しています。グアテマラでは、無償にすると支援に依存してしまい働く意欲が低下する可能性がとても高いそうです。家族の為に働き自ら必要なものを得る精神を忘れさせない為にも、食品を販売する方法を取っています。自分の努力により貧困から脱出してほしい、というグアテマラのフードバンクの強いこだわりが伝わってきました。



グアテマラのフードバンクBanco de Alimentos de Guatemala のホームページはこちら:http://www.bag.org.gt/  (スペイン語のみ)

外から見た日本のフードバンク
このように国によって大きく違いがみられます。世界のフードバンクと比べ、日本のフードバンクはとてもユニークな点が二つあります。一つはフードバンクが訴えるメッセージです。他の国では、フードバンクのメインテーマは「反貧困」「飢餓撲滅」といった「生活困窮者を救う」意味合いが非常に強いのですが、日本のフードバンクは貧困問題と同じ位「もったいない」が重要視されています。日本のように「食品ロス削減」を発信しているフードバンクは、今回参加した国では他にありませんでした。例えば、カナダのフードバンクの年次報告書を見ても、食品ロスに関する内容やデータは一切ありません。もう一つは、寄付者との関係です。アメリカや研修に参加したフードバンクは、食品企業に積極的に電話を掛けるなど、アグレッシブに寄付を呼びかけます。研修中、チームに分かれて、各チームに質問が渡され、それに答えるというワークショップがありました。私のチームにはこのような質問がありました「ある企業担当者に寄付の呼びかけの電話やメールを何回しても返事がありません。あなたは次にどのような行動を取れば良いと思いますか」。答えは色々ありましたが皆が合意していたのは「その人に繋がりそうな人に連絡を取り、別ルートから連絡を取る」という答えでした。セカンドハーベスト・ジャパンでは、そこまで積極的な営業をした経験が無いので、質問の内容から他の国と大きなギャップを感じました。それは、そもそもの活動目的にも関連していることかもしれません。「食品を集めて、必要な人へ届ける」。シンプルに聞こえますが、その土地によって様々な方法があります。

今回の研修で、アメリカ以外のフードバンクも知ることにより、改めて日本のフードバンクを客観視できる機会を与えられました。3.11から始まった震災支援活動のように、時代のニーズに対応し、セクターを超えた様々な協力を得ながら今後どの様な「日本流フードバンク」が創られていくのか楽しみでもあります。

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